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唄を歌っていたのは少女と同じくらいの少年だった。
前髪は切り揃えており、そのまま横・後ろ髪は肩にかかる程度。
服は時代に似合わぬ着物を上品に着こなしていた。
少年の口から言葉が飛び出す度に、足元の円形のモノが呼応して様々な色の光を発する。
円の内部には文字がしっかりと書き込んであり、それらもごくたまに唄に反応しリズムを形成していた。
「ねえ、君の唄きれいだね。」
少女がそう言うと少年は唄を歌うのをやめ、彼女の方に目線を落とした。
「ありがとう、そう言われると、、、嬉しいな。」少年は淡々と言葉を紡ぐ。
「初めまして、ボクの名前はサト。君の名前は?」
「私の名前は初花(ういか)よ。」
歌っていた主が自分とそう大差ないのが分かって安心したせいか、
もしくは先程のサトと彼を取り巻く光との美しい調和に心を奪われたせいか、
少女が最初に味わった恐怖はもうすでに消え去り、むしろサトに対する親近感が彼女の心の中を占めていった。
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